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上質なワイン、サステイナブルの実践、そしてガチョウの大群(2016年4月「ガーディアン」掲載記事訳)

朝早くにコノスルの葡萄畑を歩くと、まるで映画のセットの中に入り込んでしまったかのように思うかもしれません。地表に低く広がる霧がゆっくりと消えると、見捨てられた多数の自転車が姿を現します。葡萄の列に寄りかっているもの、ワイナリーの壁にもたれかかっているもの、門のところに山積みになっているもの・・・。しかし、これはゾンビ黙示録ではありません。自転車はコノスルで働くワーカーたちが、毎朝近くのチンバロンゴ村からワイナリーに通うときに使っているものです。ワーカーたちは皆、70年代にはじめて葡萄の樹が植えられたときから、自転車で仕事へ向かっています。

一見しただけでは、ワーカーたちがどこにいるかすぐには分かりません。今日、ワーカーたちは葡萄の樹々の中に埋もれて、早朝の肌寒い気温の中でピノ・ノワールの収穫作業を行っているからです。この葡萄畑での収穫作業はすべて手作業です。ワーカーたちは小さな重い入れ物を背負い、収穫した葡萄をそこに入れています。ワーカーたちの後を追う大きなトラクターは、ワーカーたちが収穫した葡萄を積むためのものです。朝日が昇るころ、トラクターの荷台は収穫した葡萄でいっぱいになり、葡萄はワイナリーへと運び込まれます。ここで葡萄は「コノスル オーガニック ピノ・ノワール」になる旅へと出発します。一部はビシクレタ・レンジ(=ヴァラエタル・レンジ)に行きますが。

「オーガニック」「ビシクレタ(=ヴァラエタル)」のラベルは、コノスルを代表する重要なシンボルです。コノスルは南米大陸最大のオーガニックワイン生産者であり、そのコノスルの(ワーカーたちへのオマージュである)ビシクレタ・レンジは、コノスルがサステナビリティに貢献していることを表しています。コノスルは葡萄畑でのオーガニックの実践だけでなく、カーボン・ニュートラル・デリバリー・ステータスの取得や、ガラス瓶やワイナリーで使用する水のリサイクルにも取り組み、また、フェアトレード認証を含む多数のエコ・フレンドリーな認証も取得しています。

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収穫作業で葡萄の葉がガサガサと鳴る中、ガチョウの大群が興奮気味にガーガーと鳴く声が聞こえてきました。ガチョウたちは今は囲いの中に入っていますが、普段は葡萄畑に出て重要な任務を遂行する、忠実なワーカーの一団です。ガチョウたちの主な仕事は、「ブリトー」を食べることです。メキシカンレストランで食べる、あの食べ物ではありません。ブリトーは葡萄畑にいる害虫です。小さなゾウムシで、春になると樹から出たばかりの若枝に向かって地面から移動し、葡萄の芽や果実を食べてしまいます。一般的には農薬を散布して退治しますが、コノスルはガチョウとガーリックの助けを借りています。

コノスルの葡萄の樹の根元には、油とガーリックを染みこませた厚紙が縛り付けられていています。こうすることでブリトーが樹に登れないようにし、地面をさまよっているブリトーをガチョウに食べさせています。

今日、ガチョウたちが囲いの外に出ていないのは、彼らはブリトーだけでなく「葡萄」も食べるのが大好きだからです(葡萄を食べてしまわないよう、収穫期が終わってから畑に放たれます)。害虫を食べるガチョウの存在が葡萄の品質を証明するということはないかもしれませんが、コノスルのワインにとってはそうだと言えます。「いい葡萄を得ることは、非常に重要です」とワインメーカーのマティアス・リオス氏は語ります。オーガニックワインの製造においては「収穫量と生産量のバランスは本当に正直です。葡萄を収穫するタイミングも非常に重要です。それから、葡萄の樹を正しい場所に植えてやらなければなりません」。

コノスルでは2〜3週間前から葡萄の収穫が始まりました。これから2ヶ月以上かけて、全国の葡萄畑で収穫作業を行います。コノスルは全国に14の葡萄畑を持ち、北は沿岸部のリマリから南はビオビオまで、その距離は実に880キロメートルにもなります。コノスルのチームは本当に多くの場所から葡萄を収穫しなければなりません。そして、これはコノスルが質の高い葡萄から質の高いワインを生み出す、その始まりに過ぎないのです・・・。

Photograph: Santiago Soto Monllor

※このコラムは、2016年4月22日付でイギリスの大手一般新聞「ガーディアン」に掲載された記事(無料)を本ウェブサイト向けに訳したものです。元記事はこちら

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