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マティアス・リオス氏:情熱溢れるワインメーカー(2016年4月「ガーディアン」掲載記事訳)

マティアス・リオス氏(39)は、2003年からコノスルのワインメーカーとして活躍しています。公式にはコルチャグア産のワインを担当していることになっていますが、実際にはチリ中に点在するコノスルの葡萄畑を見て回っています。マティアス氏は土地との関わりを何よりも喜び、オーガニックワインが人々の生活により良い影響を与えることを強く信じています。

出身地は?

(チリの首都)サンチアゴです。ですがアウトドア派で、自然と触れ合う環境で育ちました。チリには素晴らしい風景がたくさんあります。自然や植物をとても愛していたので、それが理由で農学を学びました。オフィスでの仕事は自分には向いていないことは分かっていましたし、自然のサイクルの中で働きたかったのです。農学の中ではフルーツが好きで、とくに葡萄が好きでした。

それで、ワインメーカーとしてキャリアをスタートさせたのですね?

それが、そうではないんです。大学では食用の葡萄を研究していたので、アメリカへ食用葡萄の仕事の経験を積みに行ったのです。ところがこれが非常に人工的で嘘くさい。食用葡萄は見た目が全てで、それ以外には何もないと。そう思ったので、ワイン用の葡萄に鞍替えしたのです。ワイン用の葡萄は見た目ではなく、栽培された土地の個性を表現しています。その土地の個性をボトルに詰めて、それを飲むことが出来る・・・なんて素晴らしいんだ!と思ったのです。これはまるで魔法のようで、このように土地と結びつくことのできる飲み物はワイン以外にはありません。

オーガニック農法やサステイナブル農法は、コノスルのワインにどんな影響を与えると思いますか?

最大の恩恵は、葡萄の品質が向上することと、テロワールをより一層表現出来るようになることだと思います。収穫量と生産量に関しては嘘偽りないバランスになり、葡萄畑との結びつきを強く感じられるようになると思います。消費者にも良い影響があると思います。化学薬品が殆ど使われていませんので。それから、文化的な変化も生まれます。ワイナリーで働く人たちの人生観が変わり、そしてその価値観は各家庭で子供たちへと受け継がれます。私たちはクリーンな環境と、未来の世代を創っているのです。

ここチンバロンゴから、次世代の働き手がコノスルにたくさん集まりそうですね!コノスルにはとても忠誠心の強い従業員たちがいるように思います。同じ村に住むたくさんの人たちと働くのはどんな感じですか?

まるで家族のようで、前向きなエネルギーに溢れています。ワインを造る仕事には、前向きなエネルギーが必要です。顔なじみの同じ村の仲間なら、最初からお互いを信頼し合うことが出来ます。ワインは生き物です。前向きなエネルギーをもって仕事をすれば、より良いワインが出来ると私は信じています。

協力して仕事をするという話についてですが、コノスルには4人のワインメーカーがいますよね。口論になったりはしないのですか?

最後には合意しなければなりませんので、時々ですけれど、合意に達する為に敢えて議論をヒートアップさせることもあります!私たちはワインに対してとても情熱的なのでそうなってしまうわけですが、ワインメーカーが4人いることによって本当に色々な考え方が出来ることは良いことだと思います。これは貴重な経験です。ある時はわずか0.5%のブレンドをどうするかについて、何時間も議論したこともあります。そうした過程を経て、今までに造ったものを超えるワインが出来上がりました。合意までの道のりが長ければ長いほど、より良い解決方法を皆で一緒に導き出しているのです。

一番造るのが楽しいワインは何ですか?また、一番満足を与えてくれるものは?

ピノ・ノワールを造ることの満足感は、他には代えがたいものです。葡萄畑での栽培も難しいですし、ワイナリーでの醸造も難しい。なので、いいピノ・ノワールが出来たときには、最高の気分になります。

良いワインメーカーであるためには、どれくらいのクレージーさが必要でしょうか?

技術的な知識は必要です。しかし、ほんの少しのクレイジーさは必要だと私は思います。決断をして限界まで行くためには勇気を持たなければならないからです。「良い」ワインと、「素晴らしい」ワイン、その違いは新たな一歩を踏み出すことを恐れないことにあるのです。

ピノ・ノワールにおすすめの料理はありますか?

私はマグロと合わせるのが一番好きです。オシオや20バレルのピノ・ノワールのようにしっかりした味わいのものであれば、ローストビーフと合わせるのも好きですね。

初めてチリを訪れた人が試すべきワインと料理の組み合わせは何でしょうか?

ソーヴィニヨン・ブランと、セビーチェか牡蠣ですね。素晴らしいですよ!

Photograph: Santiago Soto Monllor

※このコラムは、2016年4月15日付でイギリスの大手一般新聞「ガーディアン」に掲載された記事(無料)を本ウェブサイト向けに訳したものです。元記事はこちら

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