コラム
ガチョウの「パコ」君は、コルチャグアに住み始めて7年になります。彼とその仲間の497羽のガチョウは、極めてオーガニックな方法で害虫を駆除するという、非常に大事な役割を担っています。今回はそのパコ君へのインタビューです。1993年からガチョウの世話係を務めるルイス・フェルナンド・リヴェラ氏(通称チニート)が、インタビューの通訳を担当します(という設定のようです・・・)。
葡萄畑での普段の1日を紹介して下さい。
夜はしっかり寝るようにしているよ。そうしないと、あとでガーガー鳴きたくなっちゃうからね。朝7時ぐらいになると飼育係のチニートが来て餌をくれる。いつもの餌は、サステイナブル農法で育てたコーン。なんだかんだ言っても、やっぱり地元で育てられた食べ物が一番いいね。で、餌を食べたあとは葡萄畑に出て、一日中ブリトーをハンティングしてるって感じ。
ブリトー?あなた、メキシカン料理食べるの?
ん?違うよ。ブリトーって言っても、メキシコ料理屋で出てくるあれじゃないよ。虫の名前。同じ名前の虫がいるのさ。チニートの話だと、なんだか違う呼び方もあるらしいけど。ともかく、あいつらはワインメーカーの頭痛のタネなのさ。あいつら、葡萄の芽も食うし、実も食っちまう。大抵の場合は農薬撒いて退治しちまうんだけど、コノスルは違うんだよね。オーガニックにこだわってるから、そこで俺たちの出番ってわけさ。
一日にブリトー何匹食べるの?
いやそれが、ここ何年もブリトー食べ続けてきたからさ、もう畑にはあんまりいないんだよ。でもさ、ツイてる日には何匹かジューシーなやつにありつけたりする。別の虫とかカタツムリとかと一緒に食べたりすると、美味いんだよねええ(涎)。あ、雑草も美味しいよ。で、午後になったら葡萄の樹と樹の間でシエスタ、ってわけさ。
一年中こんな感じ?
いや、そうでもない。コノスルの奴ら、収穫が終わるまでは俺たちを畑に入れてくれないのさ。
どうして?
まあ、なんて言うか。人間と同じで、俺たちも葡萄が大好きなわけよ。とくにピノ・ノワールとか。要は葡萄を食っちまうから、畑に入れてもらえないのさ。
じゃあ、それまでは何してるの?
囲いの中に入ってる。プールの近くのね。
あら楽しそう。
まあ、あんまり胸を張って自慢するのは好きじゃないけど。俺たちガチョウは胸張ってるイメージが強いけどね。
コノスルはエコフレンドリーであることにすごく誇りを持ってる。「ビシクレタ(=ヴァラエタル)」ってシリーズがあるけど、あれは人間のワーカーたちが自転車で葡萄畑を走り回っているのにちなんで名付けられたんだ。でもね、俺たちガチョウにちなんで名付けられたシリーズもあるんだよ。「ロス・ガンソス」ってやつさ。ガンソスって、「ガチョウ」って意味なんだよ。(※「ロス・ガンソス」シリーズは、業務店様専用商品として販売中です)
Photograph: Santiago Soto Monllor
※このコラムは、2016年4月15日付でイギリスの大手一般新聞「ガーディアン」に掲載された記事(無料)を本ウェブサイト向けに訳したものです。元記事はこちら。
【関連記事】
・チリがピノ・ノワールにとってパーフェクトな場所である理由
・偉大なニューワールドのピノ・ノワールはこうして造られる
・上質なワイン、サステイナブルの実践、そしてガチョウの大群
・チリの収穫期:夢が現実になる時
・チリの可能性を示したコノスルのピノ・ノワール
・パトリシオ・コルネホ氏:南米最大級ワイナリーのセラー管理者
・グレゴリオ・マウレン氏:コノスルの本拠地、サンタ・エリサ葡萄園管理者
・マティアス・リオス氏:情熱溢れるワインメーカー
・ネリー・シルバさん:コノスル名物「アボカドケーキ」で世界中からのゲストをもてなす、ゲストハウスのシェフ
投稿日:2016年5月7日